IVRC2016予選大会に出場しました(再up)
はじめに
9/13-16, つくば国際会議場にて行われた日本バーチャルリアリティ学会大会の一部として開催されたIVRCの予選大会で"I am a monster"という作品の展示を行ってきました。今回のことについてあったことや考えたこと、思い知ったこと、反省などをまとめるために書いておこうと思います。
制作のための環境確保
発生した問題
僕らのチームは、全員通っている大学が違う^1という特徴があります。しかし、この状況でアイデアを実現させるためには、
- 集まって作業をする場所がない
* 集まっての話し合いの機会が少なくなる
- 必要な機材(PCなど)がない
という問題を解決する必要がありました。
解決
高校の先輩経由で知り合ったViling Venture Partners のCEO、栗島さんにViling Venture Partnersの場所をお借りして企画書・制作のための話し合いなどをしました。また、さらに栗島さん経由で知り合ったアブログ合同会社代表の内田さん経由で知り合ったGIFTED AGENT代表の河崎さんにHTC VIve、PC、場所をお借りして制作を行いました。
この辺りは運が良かったのとなかなか図々しくやっていった結果上手くいった気がします。図々しくするのは結構精神にくるので、送信するメッセージを考えたあとはしばらく本当に送っていいのか...と悩んだりしましたがそこを乗り越えてやっていきました。
制作
マネジメント
チーム全体の進捗が...とならないように、タスクの振り分け、明確化などを行いました。全員のスケジュールを確認してタスクを振れそうな人にタスクを期限つきで振り、間に合わなかった場合にどういうタスクを誰にやらせるかまで決めておくなどしました。幸い皆ある程度期限を守ってくれたのでそこは問題になりませんでした。
一番問題だったのは僕自身の進捗でした。僕はチームにおいて上記のようなマネジメント、IVRC運営や場所/機材を貸していただいた会社との諸連絡、必要となる事務的な作業だけでなく、Unityでメインとなる開発も請け負っていました。開発以外のところに追われたために進捗が悪く、開発期間の終盤になってようやく形になった、という感じでした。これについての反省点として、
Unityを用いた開発をgit等で管理し、複数人で開発しやすいようにしなかった
僕自身の作るべきものを明確にしなかったため設計もなくできていくものがめちゃくちゃになった
チーム結成段階でマネジメントが必要になる状況に気づけなかった。
というのを感じました。既にモノはある程度形になってしまっているので、もしこれを続けて開発する機会があれば、
というふうに改善したいです。でも貸していただいた機材はもう返却し、その分いろいろやらなきゃいけないのでまたお借りするのは(今更どの口が言うのかという感じですが)迷惑がかかりそうだなと思うので悩んでます。どなたかViveとめっちゃ性能のいいPCと場所を貸してください...お願いします...。あとさらに作ったものを展示できる場所がほしいですね...。IVRCの予選で展示してアドバイスをもらってもそれでおしまいというのはあまりにもつらい...。
アイデア
僕たちのチームの作品は、僕が少なくとも月に一回くらいは思う「力がほしい」というのをmake_now_just氏に言ったら「怪獣になる」というのが出てそれになりました。その後メンバーを集めてどういうのをどうやって作るかを話し合って企画書を書き上げ、書類が通過することを確認するまではスケジュール等の必要な情報の把握を行ってました。そして、書類が通過してみんなでなぜだ...となりながら制作を開始しました。「なぜだ...」ってなんだよという話です。
企画書を書いていた時は、ビルを破壊するというのをジェンガを使って実装するという話で進めていました。しかし、よりリアルな体験を目指すのか、それともコンテンツとして、爽快感を求める方向に走っていくのかなどは決まっていませんでした。いや、正確には、決めてはいたけどみんなあまり納得がいってないという状況でした。根幹の部分がもやもやしている状態で突き進んだのは、制作が進行しづらいという点でかなり問題だったかなと思います。
大会
日記
13日
展示のための設営を午後の間行いました。また、必要だと思った機能の追加や動作確認を行ったため2時間弱くらいしか眠れませんでした。
14日
午前中設営をするも、ハードウェア側の動作が上手くいかず、なかなかうまく体験ができない状態になり、みんな精神がやられていきました。なんとか動くようにしたもののなかなか体験者は来ず...。しかしその後体験、アドバイスをしていただき、精神とやる気が回復していきました。アドバイスを元に最も重要な部分を見せるための工夫を実装するためにまた開発とデバッグを夜中に行いました。
15日
午前中の予選通過が決まる前の最後の展示では、改善によりスムーズに体験が可能になりました。おかげでより多くん感想やアドバイスを聞くことができました。頑張った甲斐がありました。午後はVRSJ20周年記念式典で樋口真嗣さんの講演を聞いたりしました(落合さん達のトークセッションもありましたが、身体が限界だったためかいつの間にか気を失っていました...とても聞きたかったです...)。機材を持ち帰ることができなかったことと僕の体力が限界になっていたため、ホテルに戻ってからは何もしませんでした。
16日
最終日だったので各々交代して他の展示を見たりしました。僕は疲れを認識できる程度までしか回復できていなかったため発表を聞きに行ったものの全く内容が頭に入って来ず、会場の人のいないところで爆睡していました。起きようとしたらかなしばりにあったみたいに全く動けなくなったりしたのでこれはこれで面白い体験ができました。午後は頑張って展示をし、展示時間終了後は機材を返却しに行くために即撤収しました。
知見とか考えたこととか
(自分の思ったことについてはなんの根拠もなく推測で述べている感じになっていますし雑ですが、書かずにはいられなかったので許してください)
「現実なのにリアリティがない」
樋口真嗣さんのお話しで出てきたことです。
樋口さんは、「現実で起こることは現実だと思っているものを超えてくる」というようなことをおっしゃっていました。例としては、大嵐で屋根が紙のようにクシャクシャっと潰れていったりすることです。現実で起こることは、人間の思っていたものを超えた振る舞いを見せることがあり、それを見たときにリアリティを感じない。また、そのように超えてくることが現実で起こっているということを受け入れていくことでリアリティは更新されていくという話でした。
このリアリティは更新されていくという話から、僕は人間の感じるリアリティは経験によるものがかなり大きいのでは?もしそうであれば、リアリティを更新することは可能で、リアリティを作っていくことさえできるのではないかと思いました。いや、既にリアリティを作るというのは行なわれているように思えます。例えば、今回僕たちが体験で実現しようとした、「怪獣になってビルを壊す」ということのリアリティへの認識です。そもそも、怪獣がビルを壊すなんてことは現実には起こりえません。それでも、なんとなく、それについてのリアリティを感じることができる人はいます。この原因は、そういうことを表現した作品を見ているからではないかと思います。また、そうであればこれは作品によって怪獣によるビルの破壊という事象へのリアルがその人に植え付けられたということになるのではないでしょうか。
現実っぽく見せるには
樋口さんが監督をした「シン・ゴジラ」は、「現実(ニッポン) 対 虚構(ゴジラ)」というキャッチフレーズがあります。このキャッチフレーズの通り、「シン・ゴジラ」のゴジラという虚構以外のリアリティの追求っぷりは半端ではないです。例についてははネタバレ要素やオフレコ要素を含むので例については書けませんが、本当に徹底されています。降ってきた要望を現実っぽさを残しつつ答えるための演出や、ほとんどの人は見たことがないがそれっぽく見えるなど、本当にすごい作られ方をしています。また、「」ほとんどの人は見たことがないがそれっぽく見えるとありますが、これはゴジラについても同じことです。ゴジラを実際に見たことがある人はこの世には存在しないでしょう。しかし、それでもあの映画でのゴジラのリアリティはすごいものです。
このリアリティはどこから来るのだろう?と考えて、私は上記の経験からくるリアリティの他に、周囲のリアリティというのもあるのではないかと考えました。4869の日報に講演のあとに僕が彼から聞いたハリー・ポッターについての話が載っているのですが、このハリー・ポッターのリアリティというものも、魔法以外のリアリティの高さからくるものなのではないでしょうか?「シン・ゴジラ」についてもゴジラ以外のリアリティの徹底されていますし、そういうものはあるように思います。
おわりに
疲れたので一旦これで終わりにします。得た知見についてはもっとあるので追記します。